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真宗大谷派宗務所

(東本願寺出版部)

「今日のことば」より

今日のことば

仏の光明は

全世界を照らし

さまたげるものは

何一つない

今、毎日何気なくお勤めしてる「正信偈(しょうしんげ)」の最初の「ご和讃(わさん)」

の、『法身(ほっしん)の光輪きわもなく 世(せ)の盲冥(もうみょう)をてらすなり』

が、心に浮かんで参ります。如来の光明は世の盲冥という闇を照らし出してくださ

います、と讃じられておられます。

「盲」とは、自分自らが目をつむって見えない闇。「冥」は、目をしっかり開けても見

えない闇。「盲」という闇は、目を開けさえすれは、「ああ、そうだったのか」と身の事

実・現実の姿に気がつかされることで、その闇は破られていきます。でも「冥」は、

いくら目を開いても全く見えない未来という闇です。私たちは、現実に目をふさぎ、

その視点を未来に追い求め、虚構(きょこう)を作りだしているのではないでしょう

か。これが、私たち現代社会を覆っている闇ではないかと思うのです。

私たちは、未来に希望を掲げそれに向かって突進していきます。

親も子も共々に「何々になりたい」「何々にさせたい」と一生懸命になっていきます。

でもなれるかどうかは誰にもわかりません。それは、努力が足りないとか能力がな

いということだけの問題じゃなく、その途中にどんな業縁(ごうえん)を受けてどうな

っていくか誰にもわからないということなのです。そうしますと、「わからないから希

望がもてるんだ」といわれる方もおられると思います。それはごもっともです。でも、

それを「冥」(闇)というのはなぜでしょう。私は、そこに闇の深さを思わずにはおれ

ません。状況がどうなるかわからないという現象面だけではなくて、自分はなぜそ

の仕事をしたいのか、その本質的な意味さえも見えてこないからです。

今、この現代社会も経済発展という名の下に未来に向かって歩んでいます。でも、

それはなんのためなのか、どのような社会になりたいのか、私たち人間はどうなり

たいのか、全くわかっておりません。それが未来という闇の深さなのでしょう。

今日ほど光に対して無感覚な時代はない。光があるのが当然だと思っている。で

も、実際にあるのは闇だけだ。いくら二十四時間煌々(こうこう)と明かりをつけてい

ても、闇はむしろその明かりのところへと群がってくる。そして、明るくすればするほ

ど、闇は一層深くなっていく。

私たちは、”今”という現実をしっかり目を開いて見なければならないと思います。そ

れもただ現象面ばかりではなく、その本質をも見定めていかなければなりません。

本質を見定めるということは、如来の本願に巡り会うこと。本願という遥かに遠い

”なつかしさ”を感ずる時、そのことによって、私たちの本質が、私たちの存在が照

らし出される、そう思えてならないのです。

榊法在(さかき・ほうそん)

山形教区皆龍寺住職

真宗大谷派(東) 法雲山 浄真寺

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